2011年12月4日日曜日

イベント会場でモバイルWi-Fiを使ってはいけない理由

昨今ポケット Wi-Fi を始めとするモバイルWi-Fiルーターをお使いの方が増えています。日常とても便利なのですが、人が多く集まるイベント会場で使うと会場の無線LANが使えなくなり、迷惑になることがあります。
イベント会場に無線LANがある場合は、そちらを使うようにして、モバイルWi-Fiルーターの電源はOFFにしましょう。
ではなぜ、モバイルWi-Fiルーターを使ってはいけないのでしょうか?

重ならずに使えるチャンネルは少ない

2.4GHz の無線LANでは、1〜13チャンネルが使用出来ます。ところが、実際にはそれぞれ左右に2チャンネルずつ重なっているので、5チャンネル分専有してしまうのです(11g/11n では少し違いますが、やはり重なりがあります)。

(図は Michael Gauthier による。 CC-BY-SA)
そのため、実際に同時に使えるチャンネル数は最大3チャンネルになってしまいます。「最大に」がポイントで、誰かが4チャンネルを使った場合は1チャンネルと6チャンネル、両方と干渉してしまうので、さらに効率は落ちてしまいます。
イベント会場では主催者が注意深く割り当てたチャンネルを使用すべきです。

モバイルWi-Fiルーターは通信速度が悪い

無線LANでは、ひとつの周波数を利用者全員で使用します。簡単にいえば 300Mbps を10人で使うと一人30Mbpsになります。ところが、低速で通信している人がいると、その人は多くの時間を使うので、他の人が使える時間が減ってしまいます。3Gの通信速度が遅い場合でも、無線LANが遅いと余分に時間がかかるので、やはり他の人が使える時間が減ってしまいます。
ポケットWi-Fiは、多くの機種で 54Mbps までの 11g しか対応していませんし、11n に対応した最新機種でも 72Mbps しか対応していません。一方、多くのノートパソコンは 11n の 144Mbps に対応しています。
会場内で高速なアクセスポイントが提供されている場合は、そちらを使うほうが電波の利用効率が上がります。

アクセスポイントが増えると、余分な信号が増える


無線LANのアクセスポイントは、誰もつながっていなくても1秒間に10回程度「ビーコン」と呼ばれる電波を出しています。これにはSSIDや通信速度など、APの情報が含まれています。
つまり、アクセスポイントが増えれば増えるほど、ビーコンが多くなって電波を無駄に使ってしまうのです。SSID をステルスにしても、SSIDが空になるだけで実際にはビーコンは出たままになっています。
さらに、無線LANクライアントがアクセスポイントの検索を行うと、検索パケットがアクセスポイントの数だけやり取りされてしまいますので、接続を行わなくても無駄に電波を使ってしまいます。
アクセスポイントの数は必要最低限にするのが、電波の利用効率向上につながります。

会場では 5GHz 帯が使えることがある

無線LANには大きく分けて 2.4GHz帯と 5GHz帯があります。
周波数が過密なのは 2.4GHz帯で、5GHz帯は比較的余裕があるのですが、残念ながら一部を除いて屋外で使うことができません。そのため、モバイルWi-Fiルーターは2.4GHzのみの対応となっています。
もし会場で 5GHz帯のアクセスポイントが用意されていれば、2.4GHz帯との負荷分散を行うことができますので、収容人数が格段に上がります。

まとめ

無線LANは電波を使います。電波は空間に均等に広がっていくので、どうしてもお互いに影響を及ぼします。限られた周波数をできるだけ効率良く使うことが、みんなの幸せにつながります。
イベント会場では、モバイルWi-Fiルーターの電源はお切りいただき、会場の無線LANをお使いください。

この文章は Creative Commons 3.0 BY-SA Unported によりライセンスされます。

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